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月別アーカイブ: 5月 2017

母親が入院している病院で、母親のベッドの向かいにいらっしゃる同室のご高齢の女性。
人工呼吸器の管が喉に挿入されている。

入浴日には看護師さん達が3人来て、人工呼吸器の取り外しや酸素ボンベ設置・携帯などの処置をして浴室に向かっていく。
入浴後は、看護師さん達が人工呼吸器の設置や数値の調整をして大がかりだ。

人工呼吸器の検知精度はとても敏感で、血中酸素濃度(SpO2)が下がるとすぐにアラームが鳴るので、そのたびに看護師さんが来て機器の調節や痰の吸引処置などをしていく毎日だ。

ところが、先週末から具合が思わしくなく、人工呼吸器のアラームが頻繁に鳴って看護師さんの出入りが多い。

いつものように母親の日々の介護をしていたら、看護師さんが2人来て、つきっきりで人工呼吸器の調整や体位変換、痰吸入などをしている。
そのうちに院長先生が来て、看護師さんと医療処置の話を始めた。

まもなく一人の看護師さんがナースステーションに戻ったが、人工呼吸器の管の調整をしていた看護師さんが “Nさん、すみません。私、手が離せないのでナースコールを押してナースを呼んでください。” と真剣な声で私に言った。
ナースコールを押して “エマージェンシィです”とマイクで話したら、看護師さんが駆けつけてきた。 アラームはピーピーと鳴りっ放しだ。

“SpO2 63です!!”

えっっ!! 63は相当危ない。 健常者でも95を下回ったら深呼吸が始まるし、少し息苦しくなる。

人工呼吸器の回りに置いてある緊急器具からバッグバルブマスクを取って2人かかりで必死に酸素を送り込み始めた。
“Mさんっっ、がんばってぇー!! がんばってぇっっー!!”

その光景と声を目のあたりにして涙が出た。
これ以上、病室にいることは過呼吸を起こしかねないほど辛すぎる。

翌日、病室に入るとMさんは真っ白の顔色で、ほとんど動くこともなく人工呼吸器を付けてベッドにいた。

昨日、病室に入ると人工呼吸器はなく、ベッドはシーツと枕だけが残っていた。
身の回りのものを収納するケースは空で名前も剝がされていた。

外出や外泊ができたり、食事が摂れたりすることは本人にとっても家族にとってもよいことだ。

だが、そういうことができない患者さんや、その面倒を看る家族にとっては、“今日は目が開きましたよ。お返事をしてくれましたよ。手を握ってくれましたよ。”などの些細なことを話してくれる病棟看護師さんや主治医からの丁寧な話はもっとありがたく、心の救いになる。

母親が、経口からの食事ではなくチューブによる栄養補給になってから間もなく2年半になる。
でも母親は元気なころから“私は100歳まで生きたいよ”なぁんて冗談交じりに話していた。

それじゃぁ、やったろうじゃないか!!  な、、おふくろ。

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